アメリカで仕事を始めて約2か月が経った。
前任者がすごい仕事のできる人だったので引継ぐのにかなり苦しんでいる状況。
シンガポールで3年間英語で仕事をしていたとはいえ、
その後、日本で6年間のブランクがあり、言いたい事がなかなか英語で出てこない。
しかも、シンガポールなどのアジア英語と違い、アメリカ英語は全然聞き取れない。
リンキングが多すぎて大体何を言っているか分かっても細かい大事なことが聞き取れない。
これでは相手が何を言っているのかを聞き取るのに精いっぱいで、
とても質問を考えるような余裕がない。
結果、一方的に話を聞いて、わからないところは聞き直して終わりになってしまう。
厳しいと想定していたが、ここまで苦しむとは思わなかった。
やはり、アジア英語では全く通用しない。
それと、もう一つ、苦しむのが期待される能力の違いだ。
日本以外で仕事をする時に決定的に違うのが期待される能力が全く違う。
日本では実務能力や専門性はほどほどに、チームで仕事をすることが求められる。
特に大企業の場合、「チームで仕事をする」というのは
チームの一番下の能力者にレベルを合わせる事を意味する。
みんなで一緒に頑張らないといけないため一人だけ突っ走ることは許されない。
そうすると、日本にいるときはチームに方向性を示し、全員に役割を与え、
できない人がいればできるように徹底的に支援、教育するという能力が必要になる。
アメリカでは全く逆で、
とにかく、他の人が持っていない専門性を磨き、
それを武器にして他の専門性を持った人々と切磋琢磨しながらチームを運営する。
そのため、専門性がない者は役割がない。
逆に、専門家であればあるほど尊敬され、頼られる。
そしてそのノウハウは、ジョブセキュリティのためにできるかぎり秘匿されシェアはされない。
また、みんなが違う専門性を持っているのでシェアする事を求められることもない。
アジアでもそれに近いものがあったが、
やはり宗教的もしくは文化的な理由か、全員で頑張ろう的な雰囲気があった。
しかし、アメリカでは冷徹で、役割がこなせなければ代わりを雇うだけである。
日本でそれなりに業績を上げている状態で海外に駐在すると、
それに気づいているかどうかは別として、とても苦しむことになる。
そして、そのうちに何がしかの役割を自分なりに見つけ出して、
その分野の専門性を磨くようになるのである。
これが消化できるまではなかなか苦労する。
私も今、その最中にいる。
十分に分かっているつもりであったが、
日本に居た6年間で自分は何者だったかをすっかり忘れてしまった。
改めて自分の強みは何か、どこでチームに貢献するのかを自らに問い直し、
自分とはこうあるべきという役割なりポジションを見つけなければいけない。
そうしないと、いつまでも、「よくわからない人」から抜け出せない。
改めて、アメリカで身を立てて生計を立てている日本人全員を尊敬する。
自分も早くその一員になるように頑張るだけである。
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